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エメラルドグリーンの海 

私はエメラルドグリーンの海を初めてみた。
いまだかつてこんなにきれいな海は見たことがなかった。
しかしそこに行くにはとてもハードな道のりだった。

それはマニラの観光局だった。あまり考えずにフィリピンに来た私は、どこへ行こうか考えてた。そのとき1枚のポスターが目に入った。EL NIDOと書かれたポスターにエメラルドグリーンの海で泳ぐカップルがいた。よし決めた!行ってみよう。観光局の人に場所を聞いた。
それはフィリピンの南西、パラワン島の北端にあった。もすぐ向こうはインドネシア、クリスチャンよりムスリムが多い地方だ。

私はマニラから船でパラワン島の首都プエルトプリンセサに向かった。出航の1時間前に港に着いた私は目を丸くした。定員の何倍の人が乗ってるのだろう。全長数十メートルの船の上にはすでに人であふれかえってた。2階に別れた客室、といってもしきりなど無く、デッキの上に2段ベッドがずらーっと並んでいるだけだった。もちろんすでにベットはいっぱい。トイレのそばの通路にやっとわずかなスペースを確保した。

初めは快適な船の旅だった。天気も良く波も穏やか。思えば今回はよく船に乗る。鹿児島から沖縄、沖縄から石垣島、西表島、そして石垣島から台湾の高雄まで。船酔いもせずフィリピンの海をながめてた。フィリピンの夕焼けはきれいだ。水平線に沈む太陽はいいなーなんてのんびりしてた。夜になりバックパックをベットの代わりに波に揺られて眠りについた。
しかしそこはあふれんばかりの人が乗った船。田舎に帰るのか荷物をたくさん持った親父が酒をのみ話してる。通路を歩く奴の足が当たる。熟睡はできなかった。

 次の朝船は港に着いた。パラワン島かと聞くと違うという。船はセブ島のすぐそばの島に着き、そこで人をおろしそれからパラワンに向かうとのことだ。何だまだ着かないのか、しゃーない。でもここで人が降りればベットがあくかなと思った。しかし甘い考えだった。たくさんの人が降りたが、それでもすごい人。それに昨日ベットにありつけなかった人が同じようにベットをねらってた。

結局ベットの争奪戦に負けた私は、通路に場所を確保した。昨日よりはましな場所だった。
それにしても船はいつ目的地に着くのだ。何も調べないで船に乗った私はひたすら海をながめてた。目的地に船が着いたのは次の朝だった。昨日もパックパックベットに寝た私はさすがに疲れてしまってた。

 プエルトプリンセサはパラワン島のちょうど真ん中に位置し、のどかな街だった。2泊して北のエルニドを目指した。バスに数時間乗り次の街へ、しかしもうバスはない。乗り合いのジープに乗り換えまた数時間、やっとロハスと言う街へ着いた。もう夕方でこの先大きな街はないというので1泊する。次の朝、北へ向かうジープを探す。しかし人数がそろわないと出発をしないという。どうにか人がそろったのはお昼近くになってた。しかしジープは数時間走って小さな村で止まった。この後もう道は無いという。エルニドまでは船で行くしかないとの事だ。

そのときマニラから来た旅行関係の仕事をしてるといったという夫婦が居た。やはりエルニドまで行くという。仕方がないので3人で船をチャーターし、エルニドまで行くことにした。わずか5メートルぐらいのボートは鏡のような水面をなめるように走っていった。だんだん日が落ちてくる、空が黒くなってきた。スコールだ。

もちろん屋根など無い船の中、体はびしょぬれになってしまった。エルニドに着いたのはもう7時をすぎてた。そこは別世界だった。

桟橋には豪華な船がたくさんつながってた。小さなボートは恥ずかしそうに桟橋に着いた。
その桟橋からライトが照らされた海はたくさんの魚が泳いでた。そしてその海はエメラルドグリーンに輝いていた。透き通るようなきれいな海。思わず息をのむような美しさだった。
しかしそれと同時にちと場違いなとこに着いたのに気が付いた。まわりはこぎれいな格好をした観光客。フィリピン人もアイロンの効いた制服を着てる。そうここは小さな無人島に作った高級リゾート地だった。

フィリピン人のカップルは予約を入れてあったので最初からここに来る予定だった。しかし私はここではなく地元の町に行く予定だった。しかしもう夜も遅い、さっきのボートも帰ってしまった。日本人のマネージャーが来て話をした。ここは日本とフィリピンの合弁会社で予約はすべてマニラで行っており、私みたいに飛び込みで来る客は居ないらしい。みんなマニラから専用機で飛んでくる客しかいないとのことだ。本当はお断りされるのだが、夜も遅いしと泊めてくれた。

1泊80ドルは高いがスキューバダイビングが2本着いてるとききそれなら安い!と思い部屋に案内された。きれいなバンガロースタイルの部屋は海の上に立っていた。スノコ状になった床には蚊帳が貼ってありそれを通して魚が見えるという物だった。熱いシャワーを浴び、柔らかいベットに潜り込んで私は眠りについた。

 次の日、まわりの景色にまた驚いてしまった。手つかずの自然の残る島に作ったリゾート。椰子の木の緑、鳥のさえずり。さわやかな朝日を浴び、レストランでアメリカンブレックファーストを食べた。こんなきれいなリゾート地で男一人ではもったいないなー、テーブルの向こうにかわいい彼女でもいれば・・・と思いながらトーストと目玉焼きを食べた。
それからスキューバダイビングに出かけた。

まずはすぐ前の海で魚に餌付け。餌にたくさんの魚が群がる。透明度はどのくらい有るのだろうか、ずーと向こうまでエメラルドグリーンが広がる。その後船で島の反対側に行きビーチでバーベーキューランチ。(なんて豪華!)午後からまたそのビーチのすぐそばで潜る。そこはもっと濃いエメラルドグリーンの海だった。

夕方、そのホテルのチャペルで結婚式があった。そのリゾートのスキューバダイビングのインストラクター兼ガイドの原さんだった。(実は彼とは以前オーストラリアで私のとこに泊まっていったことがある友達だった。)知り合いだったので式に参列させてもらい、そしてそのまま外でバイキングディナーのパーティーとなった。夕方私は、神父さんが帰るボートでそのリゾートを離れ地元のエルニドの町に行った。

泊まった宿は自分の家の2階を客に貸してるというところだった。客は私しか居なかった。宿もそこしかないそうだ。そのエルニドの町にもドイツ人がやる小さなダイビングショップがあった。しかしそのとき、そのドイツ人の彼は居なく、フィリピン人の奥さんと、スタッフが居るだけだった。20ドルでダイビング2本。ボートにガイド、昼のバナナ食べ放題付きだった。

島で潜るのとは違うポイントだったが、やはりきれいな海は一緒だった。お昼は小さな島のきれいな入り江に上陸し、バナナを数本食べた。のどかな感じで無人島探検見たくて楽しかった。

1週間ぐらい滞在し、エルニドを離れようとしたが、南に向かう船がない。ここは陸の孤島、他の町とはあまり行ききがないのである。4日ほど待ったが船が無く、宿の親父に訳を話すと次の日飛行場に連れていってくれた。今日リゾートに行く客が飛行機で来る。パイロットに訳を話して帰りに飛行機に乗せてもらえるように頼んでやるといってくれた。そうして私は6人乗りの小さな飛行機に乗せてもらった。もちろんお金は払ってない。(飛行機のヒッチハイク?リゾートに泊まる客は片道100ドルらしい。)

わずか1時間で飛行機はマニラに着いた。こうしてエメラルドグリーンの海の旅が終わった。
もう行くことはないかもしれないが今度行くときは・・・もう船はやだ、飛行機で行こう!

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ハノマン@沈没旅行者