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タイのサラリーマン
タイで働いてたことがあります。業界用語で言うランドオペレーター。
日本から来るツアーのタイでのホテル、ガイド、ツアーなどを手配する仕事です。
もちろん現地採用、働こうなんて思っても居なかったのだけど・・・

チャイナタウンにある楽宮旅社※1という安宿があります。(谷 恒生が書いた「バンコク楽宮ホテル」という小説があるほど有名なホテルです。)
36号室のツインの部屋に泊まってた時です。
顔見知りの日本人がやってきて「誰かタイ語のうまい奴は居ないかなー、仕事があるのだけど・・」「あっ、俺やるやる」と、調子のいい友達が言い出し、「なにー、おまえタイ語できないじゃないか、俺の方がタイ語がうまい、俺がやる。」
となりゆきで仕事をするはめになった。
仕事の内容、条件も知らないうちに。ウーン本当に良いのかな?と思いつつ、次の日、一番きれいな服を着て面接に行きました。「給料は15,000バーツ、(約75000円)」と言われ「ラッキー!」とすぐ決めました。役職は[Manager of Japanese section.]だけど、
会社は社長と事務兼秘書の女の子と私の3人だけ。
タイは何回も来てたからそれなりには知ってるけど、仕事のことはさっぱり。こんななで良いのかなーと思ったけどそこがタイ。小さな事は気にしないマイペンライの国。

1週間後、楽宮からジュライホテル※2に移りそれから私の8時から5時までのタイのサラリーマン生活が始まったのです。まだ出来たばかりで、ツアー客も来ておらず、仕事と言えばこれから正月休みで来るツアーの手配。日本より予約のFAXが来るのだが、基本的には英語だから皆解る。
たまにツアーについて細かい指示が日本語で書いてあり、それをタイ語と英語のチャンポンで説明する。まだ全部タイ語で説明できるほどのタイ語が出来なかった。 あとは一日中みんなでぼけーとしてる。
ここいらが日本の会社にはないのんびりした雰囲気。社長も「暇なときは何して手も良いけど、忙しいときは働いてくれよー」なんて言ってソファーで昼寝してる。
私も事務の女の子とお茶を飲んだり、ぺちゃくちゃ話をしたり。それも疲れると机でうたた寝。社長も4時半になるともう帰ってしまう。私も15分ぐらい前にお先にーと帰ってしまう。
そのうち朝も10分ぐらいの遅刻も「道路が混んでた、バスが遅れた」でそれで終わり。
「のんきなもんだねタイのサラリーマン。」 なんて言ってるうちは良かった。

そのうち年末年始の忙しいシーズンがきた。
ガイドが足りないときは社長が自家用車(BMW)で運転手になり、私がガイドなんてときもある。空港でお迎え。ツアー客に、「タイは初めてですか?」なんて聞いて「初めて」と答えればラッキー。どうせ適当なこと言っても解らない。
空港ですぐ帰りのチケットを確認し、リコンファーム。車に乗り込みホテルへ。
ホテルでチェクインを済ませ、明日の予定を確認して用事がなければおやすみなさい、何せ次の朝は早い。バンコクのツアーはほとんど次の朝の水上マーケットから始まるから。
朝6時にホテルに迎えに行き、チャオパヤ川の船着き場へ。船はチャオパヤ川を南に下り、だんだん細い迷路のような運河へ。適当に説明をこなし、水上マーケットへ向かう。
ここは観光客用になってしまって、小舟に乗ったおばさんが、観光客目当てに寄って来る。船頭さんも心得ていて少し速度を落とす。安いモンキーバナナを一房客にごちそうする。
それから船はワットアルン(暁の寺)に寄り、エメラルド寺院のある王宮へ。ここで船を下り、王宮を1時間ぐらい観光すればもうすぐお昼。近くのツアー用のレストランでバイキングのランチを食べる。味はまあまあかな?終わって、おみやげ屋を2、3軒回って半日観光が終わり。そのあとはローズガーデンのオプショナルツアーはいかがとなる。
スケベ親父のツアーなら夜に女の子の居る店に連れていく。
最後の日にホテルをチェックアウトさせ空港まで送ってて、はいさよならまた今度!

こんな感じでうまく行けばいいけどガイドや、夜の女の子、またいやな客、わがままな客がいろいろ問題を起こす。「サービスが悪い」とぐだぐだと・・・・。
言葉が違い習慣も違う。人と人ではお互いに歩み寄らなければならないのに。
結局、私が間に入り頭を下げて客をなだめ、タイ人をなだめる。

時計を見ると12時をすぎてる・・・なんて事も良くある。 「こんな仕事やってられるかよー」と、パッポンに遊びに行ってしまう。幸か不幸か、バンコクはこういうときの遊び場所がたくさんある。気が付くと給料だけで足りなくなり、友達に金を借りたりする。そのうちトラベラーズチェックにも手を出す。日本でこんなに豪華に遊べないしと。
 いろいろあったが結局1年半働いて貯金も少なくなり、もういいかと仕事を辞めた。

何で働いているのに金が減る?
日本人クラブでマネージャーをしてた友達も同じ事を言ってた。彼の方が給料がはるかに多かったけどあればあるだけ使ってしまうと。タイで働く日本人達の中でこういうことわざがある。
「タイの給料身に付かず」まさにその通り。私は悟った。
「本能と煩悩、紙一重」

私は南の島※3でのんびり過ごし日本へ帰った。 

※1楽宮旅社の部屋の写真28KB
※2ジュライホテルの写真36KB
※3南の島の写真34KB
   


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